「その仕事は、〇〇さんしかわからないんです」
業務の属人化──それは、特定の人にしか業務内容や手順がわからず、いざというときに他の人が対応できない状態を指します。
本記事では、この属人化を放置するリスクと、ITを活用した具体的な防止策について解説します。
“属人化”を放置すると、なぜ危険なのか?
以下のような問題が、属人化により引き起こされる可能性があります。
- 担当者の不在で業務がストップする
- 業務内容が共有されておらず、ミスや漏れが増える
- 作業効率が悪く、他の人が代替できない
- 退職・異動時に情報が引き継がれない
- 業務のブラックボックス化で、管理が難しくなる
特に中小企業では、少人数で多くの業務を回しているため、属人化の影響が大きく現れがちです。
属人化をなくすには?カギは「見える化」+「仕組み化」
属人化の最大の原因は、「情報が本人の頭の中にしかない」ことです。
これを解消するには、業務内容を「見える化」し、誰でも確認できる仕組みを整えることが第一歩です。
● スプレッドシートやクラウドメモで“簡易マニュアル”を作る
まずは、日々の業務を「手順書」としてまとめておくことが効果的です。スプレッドシートやNotion、Googleドキュメントなどを使い、以下のような項目を記録しましょう。
- 作業の目的
- 使用するツール・画面
- 操作手順
- 注意点
これだけでも、誰かが急に休んだときのリスクは大きく減らせます。
● 業務を“動画化”しておく
操作が複雑な業務については、画面録画+音声解説で記録を残すのも有効です。
たとえば「月次売上の報告手順」や「経費精算のフロー」などを、5分程度の動画にしてGoogleドライブやDropboxで共有すると、引き継ぎもスムーズになります。
● クラウドツールで“履歴が残る仕組み”を導入
口頭やメモ帳で業務が行われていると、情報の共有もできず、証跡も残りません。
チャット(Chatwork、Slack)やタスク管理(Trello、Backlog)、データ管理(GoogleスプレッドシートやAppSheet)など、「誰が・いつ・何をしたか」がわかるツールを活用することで、業務の透明性と再現性が高まります。
属人化を防ぐ仕組み例:AppSheet × Google スプレッドシート
属人化対策として近年注目されているのが、ノーコードで業務アプリを作成できる「AppSheet」の活用です。
AppSheetはGoogleが提供するサービスで、Google スプレッドシートを元に業務アプリを構築できます。
たとえば以下のような業務で活用されています:
- 在庫管理(誰が・いつ・何を入出庫したか記録)
- 日報・業務日誌の提出と管理
- 設備点検チェックリスト
入力データはすべてクラウドで管理され、履歴も残るため、特定の人に頼らない業務体制を構築できます。
経営者・管理職がやるべき3つのステップ
- 「属人化している業務」を洗い出す
- 標準化・マニュアル化できるか検討する
- 外部支援も活用しながらIT導入を進める
すべてを自社で完結する必要はありません。ITツールの選定・運用・教育支援まで対応できる外部パートナーを頼ることで、社内の負担を減らしつつ、成果を出すことが可能です。
まとめ|“人”に依存しすぎない仕組みづくりを
属人化を防ぐには、ITを活用した業務の「見える化」「共有化」「自動化」が欠かせません。
特に少人数の中小企業では、1人が抜けただけで業務全体に支障が出ることもあります。
今のうちから、誰が見てもわかる仕組みを整え、「誰でもできる」状態を目指しましょう。
株式会社テクノリレーションズでは、中小企業向けに業務の棚卸しからツールの選定・導入・定着支援までをワンストップでご提供しています。「属人化をなくしたいけど、どう進めたらよいかわからない…」という方は、ぜひ一度ご相談ください。