あの人だけがわかる”をなくす!中小企業の“属人化”を防ぐIT活用術

「その仕事は、〇〇さんしかわからないんです」

業務の属人化──それは、特定の人にしか業務内容や手順がわからず、いざというときに他の人が対応できない状態を指します。

本記事では、この属人化を放置するリスクと、ITを活用した具体的な防止策について解説します。

“属人化”を放置すると、なぜ危険なのか?

以下のような問題が、属人化により引き起こされる可能性があります。

  1. 担当者の不在で業務がストップする
  2. 業務内容が共有されておらず、ミスや漏れが増える
  3. 作業効率が悪く、他の人が代替できない
  4. 退職・異動時に情報が引き継がれない
  5. 業務のブラックボックス化で、管理が難しくなる

特に中小企業では、少人数で多くの業務を回しているため、属人化の影響が大きく現れがちです。

属人化をなくすには?カギは「見える化」+「仕組み化」

属人化の最大の原因は、「情報が本人の頭の中にしかない」ことです。

これを解消するには、業務内容を「見える化」し、誰でも確認できる仕組みを整えることが第一歩です。

● スプレッドシートやクラウドメモで“簡易マニュアル”を作る

まずは、日々の業務を「手順書」としてまとめておくことが効果的です。スプレッドシートやNotion、Googleドキュメントなどを使い、以下のような項目を記録しましょう。

  • 作業の目的
  • 使用するツール・画面
  • 操作手順
  • 注意点

これだけでも、誰かが急に休んだときのリスクは大きく減らせます。

● 業務を“動画化”しておく

操作が複雑な業務については、画面録画+音声解説で記録を残すのも有効です。

たとえば「月次売上の報告手順」や「経費精算のフロー」などを、5分程度の動画にしてGoogleドライブやDropboxで共有すると、引き継ぎもスムーズになります。

● クラウドツールで“履歴が残る仕組み”を導入

口頭やメモ帳で業務が行われていると、情報の共有もできず、証跡も残りません。

チャット(Chatwork、Slack)やタスク管理(Trello、Backlog)、データ管理(GoogleスプレッドシートやAppSheet)など、「誰が・いつ・何をしたか」がわかるツールを活用することで、業務の透明性と再現性が高まります。

属人化を防ぐ仕組み例:AppSheet × Google スプレッドシート

属人化対策として近年注目されているのが、ノーコードで業務アプリを作成できる「AppSheet」の活用です。

AppSheetはGoogleが提供するサービスで、Google スプレッドシートを元に業務アプリを構築できます。

たとえば以下のような業務で活用されています:

  • 在庫管理(誰が・いつ・何を入出庫したか記録)
  • 日報・業務日誌の提出と管理
  • 設備点検チェックリスト

入力データはすべてクラウドで管理され、履歴も残るため、特定の人に頼らない業務体制を構築できます。

経営者・管理職がやるべき3つのステップ

  1. 「属人化している業務」を洗い出す
  2. 標準化・マニュアル化できるか検討する
  3. 外部支援も活用しながらIT導入を進める

すべてを自社で完結する必要はありません。ITツールの選定・運用・教育支援まで対応できる外部パートナーを頼ることで、社内の負担を減らしつつ、成果を出すことが可能です。

まとめ|“人”に依存しすぎない仕組みづくりを

属人化を防ぐには、ITを活用した業務の「見える化」「共有化」「自動化」が欠かせません。

特に少人数の中小企業では、1人が抜けただけで業務全体に支障が出ることもあります。

今のうちから、誰が見てもわかる仕組みを整え、「誰でもできる」状態を目指しましょう。

株式会社テクノリレーションズでは、中小企業向けに業務の棚卸しからツールの選定・導入・定着支援までをワンストップでご提供しています。「属人化をなくしたいけど、どう進めたらよいかわからない…」という方は、ぜひ一度ご相談ください。