中小企業の経営者の方から、「業務効率化のためにITツールを導入したのに、現場が全然使ってくれない」とのご相談をよくいただきます。
社長や経営層だけが盛り上がり、現場の社員が冷めた目で見ている──そんな温度差が、IT導入失敗の大きな原因になっているのです。
この記事では、なぜこの"温度差問題"が起きるのかをひもとき、現場を巻き込んだIT導入を成功させるための具体策をご紹介します。
導入前に立ちはだかる「社長だけ盛り上がる」問題
「これからはデジタルの時代だ!」「業務効率化で会社を成長させるぞ!」
そんな意気込みでITツールを導入する社長の姿勢は、会社の未来を考えるうえで素晴らしいものです。しかし、肝心の現場が「また何か始まったよ」と冷ややかな反応を示すことは少なくありません。
この"盛り上がりの温度差"こそが、IT導入失敗の最大のリスクです。
なぜこのようなズレが生まれてしまうのでしょうか?
なぜ現場は盛り上がらないのか?3つの原因
ITツール導入の目的が伝わっていない
「なぜこれを導入するのか」「自分たちにどんなメリットがあるのか」が現場に伝わっていないと、関心を持たれることはありません。
業務が変わることへの不安
「新しいツールに慣れるのが大変そう」「今までのやり方が否定された気がする」といった不安が、無意識の抵抗感を生みます。
導入プロセスに現場が参加していない
「決まったことをやらされるだけ」という受け身な立場では、自発的に取り組む意欲は生まれません。
これらの課題を乗り越えるためには、導入段階から現場を"巻き込む"ことが不可欠です。
巻き込み型導入を成功させる5つのコツ
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目的と期待効果を"現場目線"で伝える
「会社の成長」ではなく、「あなたたちの業務がこう楽になる」という現場目線でメリットを具体的に伝えましょう。
例:「毎月の集計作業が半分の時間で終わります」「ミスが減って怒られるストレスがなくなります」
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導入プロジェクトに現場メンバーを巻き込む
現場から代表者を選び、導入プロジェクトチームに参加してもらいましょう。
「自分たちで選んだ」「自分たちで作った」感覚が生まれると、自然と使いこなす意欲が高まります。
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小さな成功体験を積ませる
いきなり全機能を使わせるのではなく、「これだけできたらOK」という小さなゴールを設定します。
「最初の1カ月はチャット機能だけ使う」など、段階的にスモールステップを設けることがコツです。
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"応援団"を作る
現場で比較的ITに強い人をサポーター役に立てましょう。
困ったときにすぐ相談できる仲間がいると、不安が軽減され、定着スピードも上がります。
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経営者自身が率先して使う
「社長が使ってないのに、なぜ自分たちがやる必要が?」と思われたら失敗です。
経営者自身が率先して新しいツールを使い、「これいいね!」とポジティブに発信する姿を見せましょう。
具体例|実際に成功した現場巻き込み施策
ある小規模な法律事務所では、案件管理ツール導入時に、
- ツール選定から現場スタッフを巻き込み
- 「今までよりこんなにラクになるよ!」をデモで体験させ
- 小さな成果(「検索時間が5分短縮!」)をチーム内で称賛
というステップを踏みました。
結果、導入からわずか3カ月で、社内の書類検索時間が平均30%短縮し、スタッフからも「もっとこう使いたい」という提案が出るようになりました。
まとめ|ITは「共通プロジェクト」として進めよう
IT導入は、社長だけのプロジェクトではありません。現場と一緒に作り上げていく"共通プロジェクト"として進めることが、成功への近道です。
株式会社テクノリレーションズでは、中小企業の"現場巻き込み型IT導入"をサポートしています。
「社員がついてきてくれない…」とお悩みの経営者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。