中小企業の経営者の方から、「パスワードは担当者任せになっていて、退職した後に慌てた」「そもそもどこにパスワードをメモしているか誰も知らない」といったご相談をいただきます。
ITツールの普及が進む中、社内のパスワード管理は「やっているつもり」で実は危険な状態のまま放置されていることが少なくありません。特に中小企業では、IT担当者が不在の場合も多く、結果的に社長や担当者だけが管理を抱え込み、属人化してしまうケースが目立ちます。
この記事では、パスワード管理を「会社の資産」として適切に扱うために、中小企業が実践すべき基本の考え方と、社内文化として根づかせるポイントを、わかりやすくご紹介します。
パスワード管理が「会社の危機」に直結する理由
中小企業こそ、パスワード管理の甘さが大きなリスクに直結します。たとえば、社員の退職後もそのままアカウントが放置され、情報漏洩や不正アクセスにつながる事例が報告されています。
また、社長だけが知っている管理パスワードが紛失・漏洩してしまえば、社内全体が機能停止に陥る危険もあります。特に最近は、クラウドサービスやSNSアカウントが業務に欠かせないため、1つのパスワードが漏れるだけで、取引先や顧客データが流出する恐れがあります。
このようなリスクを防ぐには、パスワードを「個人のもの」ではなく「会社の資産」と捉え、適切に管理する視点が欠かせません。
中小企業でよくあるパスワード管理のNG例
以下のような管理方法は、実際によくある失敗例です。
- パスワードを担当者個人のメモ帳やPC内に保管
- 社長だけが知っている状態
- 「123456」や「abcd」など安易なパスワードを利用
- 退職者や取引終了済みの外部スタッフのアカウントがそのまま
- 全員が同じパスワードを使い回している
これらは「うちだけは大丈夫」という思い込みが引き起こす、典型的な落とし穴です。
今すぐ社内で始めるべきパスワード管理の基本
まずは、社内でできる範囲から整理を始めましょう。
- パスワードを「会社の情報資産」と明文化する
- 退職・異動時には必ずアカウントを棚卸し、削除まで実施する
- パスワード設定時は、推測されにくい複雑なものを選ぶことを社内でルール化
- 2段階認証や多要素認証が利用できるサービスは、必ずその機能を有効化し、設定を徹底する
例えば、重要アカウントは「経営層が必ず把握」「引き継ぎ時にはチェックリストで確認」など、具体的なルールを社内規定として整備しておくことが有効です。
併せて、社内で使用しているアカウントの一覧をエクセルや紙で整理し、「誰が、どのサービスを使っているか」を見える化しておくことで、担当者が不在でも対応できる体制を作りましょう。
社内文化として根づかせるための工夫
パスワード管理は「一度決めて終わり」ではなく、運用を習慣にすることが大切です。
- 役職者が率先してパスワード管理の重要性を啓発する
- 過去の失敗事例を共有し、リスクを「自分ごと化」する
- 2段階認証の利用状況や新しいアカウント管理方針を社内で定期的に確認し、ルールの形骸化を防ぐ
頻度や時期は業務の状況に合わせて柔軟に決めるのがポイントです。重要なのは「2段階認証の徹底を基本とし、ルールを形だけで終わらせない」ことです。
専門家への相談のすすめ
社内だけで整備が難しい場合は、専門のITサポート会社に相談するのも有効です。ポイントは「導入支援だけでなく、運用定着までサポートできる会社を選ぶ」こと。
株式会社テクノリレーションズでは、貴社の現状をヒアリングし、最適な管理方法のルール化や社員教育、棚卸し支援など、パスワード管理の定着までお手伝いします。
まとめ|パスワード管理は「やったつもり」が一番危ない
パスワード管理は、最も基本的な情報セキュリティ対策でありながら、最も見落とされやすいポイントです。
「うちは大丈夫」ではなく、「何かあったら会社が止まる」という危機感を持ち、経営層主導で仕組み化することが重要です。
株式会社テクノリレーションズでは、中小企業向けにパスワード管理の体制作りから、社内ルールの整備、教育支援までワンストップでご提供しています。「社内のパスワード管理が心配だ…」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。