社員が在宅勤務中に“情報ダダ漏れ”…?中小企業が今日から始めるテレワーカーの簡単セキュリティ対策

「社員が自宅で仕事をしているが、本当に情報漏えいの危険はないのか?」

ある日、小田原の経営者からこんな質問を受けました。家族がいる環境でWeb会議をしていたり、無料のWi-Fiを使って書類を送っていたりと、想像以上に“緩い”環境でテレワークが行われているケースも少なくありません。

中小企業にとってテレワークは大きなチャンスですが、同時にセキュリティリスクも潜んでいます。この記事では、難しい言葉や高額な仕組みは使わずに、「今すぐできる、かんたんで現実的なテレワーカーのセキュリティ対策」を紹介します。

本記事では、テレワーク環境に潜む“意外な盲点”や“実際に起きたヒヤリハット事例”を交えながら、中小企業が“等身大で実践できる”具体策を徹底解説します。「社内に詳しい人がいなくても実行できる」ことを重視してまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

社員の家、どんな“落とし穴”があるの?

テレワークでは、会社では考えられないようなトラブルが起きることがあります。たとえば以下のようなケースです。

  • 家庭用Wi-Fiのパスワードが初期設定のまま(外部から簡単に侵入されるリスク)
  • パソコンを家族で共有している(子どもが業務ファイルを誤って削除)
  • Web会議中の画面に、個人情報や顧客名が映り込んでいる(SNSに流出)
  • 会社のデータをUSBにコピーして自宅に持ち帰っている(紛失による漏えい)
  • スマホのテザリングで通信していたら、通信内容が漏れていた(暗号化されていない)

こうした事例は、すべて「悪意のある攻撃」というよりも、「ちょっとした油断」や「習慣化された行動」によって起こります。つまり、ちょっとした工夫と社内のルール作りで防げるものなのです。

また最近では、詐欺メールや偽サイトに誘導されてログイン情報が盗まれるケースも増えています。「自宅だから安心」という感覚が、最大の落とし穴になるのです。

セキュリティ対策って、難しそう…と思っていませんか?

「セキュリティ」と聞くと、「ファイアウォール」「VPN」「エンドポイント」といった難しい言葉を想像するかもしれません。たしかに、専門的な知識が必要な対策も一部あります。

しかし、中小企業がやるべき対策の大半は、ITの専門知識がなくても実行できるものばかりです。たとえば、「Wi-Fiのパスワードを変更する」「Web会議の背景に注意する」「業務用と私用の機器を分ける」といった、ちょっとした意識と行動の積み重ねが大きな効果を生み出します。

また、社員自身に「なぜこのルールがあるのか」を理解してもらうことで、セキュリティ意識が自然と育っていきます。これは、大企業のように専門部署がなくても、中小企業が“文化”として育てていける部分です。

つまり、セキュリティ対策は「一部の人の仕事」ではなく、全員で守る“チームプレー”なのです。

今日からできる!テレワーカーのセキュリティ対策5選

1. 家庭用Wi-Fiの設定を見直そう

テレワークで最も使われる通信手段、それが「家庭用Wi-Fi」です。ところが、設定を確認すると、セキュリティに問題があるケースが多く見受けられます。

たとえば、Wi-Fiのパスワードが「12345678」や「password」のように簡単すぎたり、そもそも変更されていない場合は、外部から侵入されるリスクが非常に高まります。特に“共用アパート”などの集合住宅では、他人が同じ回線にアクセスしようと試みることもあります。

また、暗号化方式にも注目しましょう。「WEP」という古い方式はもはや無効と考えて良く、必ず「WPA2」または「WPA3」を選びましょう。

Wi-Fiルーターの管理画面にアクセスし、「SSIDの変更」「管理者パスワードの変更」「ファームウェアの更新」などを実施するだけで、セキュリティレベルは格段に向上します。

2. Web会議の背景と音声に注意する

テレワークで頻繁に行われるのがWeb会議です。しかし、背景に映り込む室内の様子や、周囲の音声がセキュリティリスクになることも。

たとえば、壁に貼られたホワイトボードの予定表に顧客名が記載されていたり、印刷された契約書が棚に積まれていたりと、思わぬ情報が映り込む可能性があります。

また、家族の会話やテレビの音声がマイクに入ってしまい、顧客や取引先との会話に影響を与えることもあります。

背景は「ぼかし」や「仮想背景」を活用し、静かな環境で会議が行えるように工夫しましょう。ヘッドセットを使うだけでも、音声のクリアさとセキュリティは大きく向上します。

3. 業務用と私用の端末は絶対に分ける

業務用のPCやスマホを私用と兼用することは、セキュリティの観点からNGです。ゲームやSNSを通じてマルウェアに感染するリスクが高まります。

また、家族が誤って業務データを操作してしまったり、誤って削除してしまうリスクも存在します。

理想は「業務専用の機器を会社で貸与する」こと。それが難しい場合は、最低限「業務用のユーザーアカウントを作成する」「業務用のデータは暗号化したクラウドストレージ上に保存する」などの対策を行いましょう。

4. 情報共有はクラウドで一元管理

USBメモリやメール添付でのファイル共有は、紛失・誤送信などのトラブルが絶えません。情報を安全にやり取りするためには、クラウドサービスを活用した「一元管理」が効果的です。

たとえば、Google WorkspaceやDropbox、Boxなどを使えば、アクセス権限の制限、履歴の確認、共有の制御が簡単にできます。ファイルを社外へ出す必要がなくなり、セキュリティと利便性が両立できます。

注意点としては、「共有リンクの公開設定」や「編集権限の範囲」を社員に周知することです。基本は「社内メンバー限定」「閲覧のみ」の設定を推奨します。

5. 定期的なチェックと“意識の可視化”がカギ

「セキュリティ意識を持て」と言われても、日々の業務に追われていると忘れてしまうのが人間です。だからこそ、“定期的な振り返りの仕組み”が重要です。

たとえば、毎月1回の「セキュリティチェック日」を設けて、全社員で以下のような簡単な質問に答えてもらいましょう:

  • Wi-Fiのパスワードは見直しましたか?
  • PCは家族と共有していませんか?
  • 会社から貸与された機器を使用していますか?

こうした“振り返り”を習慣にすることで、セキュリティ意識が自然と根付きます。

外部サポートをうまく使うという選択肢

どれだけルールを整えても、現場では「うっかり」「なんとなく」でトラブルが発生します。これを完全にゼロにすることは不可能です。

だからこそ、信頼できる外部パートナーを味方につけておくことが重要です。たとえば、以下のような支援が可能です:

  • 自社に合ったセキュリティツールの提案・設定
  • 在宅環境の診断と改善提案
  • 従業員向けのセキュリティ研修
  • サイバー攻撃や情報漏えいが発生した場合の初期対応支援

特に「IT担当者がいない」「社内に詳しい人がいない」中小企業では、外部の専門家と連携することで安心感が大きく変わります。

まとめ:情報を守るのは“しくみ”と“習慣”

テレワークは中小企業にとって、大きな業務改革のチャンスです。しかしその一方で、情報が“会社の外”に出ることで、セキュリティリスクも一気に増します。

ただし、そのリスクは「しくみ」と「習慣」で防ぐことができます。難しいITスキルは必要ありません。社員全員の“ちょっとした意識”と“仕組み化”が、最大の防御になります。

株式会社テクノリレーションズでは、神奈川県・小田原市を中心に、中小企業の皆様を対象としたテレワーカー向けのセキュリティ支援を行っております。「まずは現状の確認だけでも…」という段階でも、お気軽にご相談ください。