先日、顧客から「AIのスペシャリストの方から聞いたのですが…」とお話が始まりました。「AIのスペシャリストって何?」と感じながらも、お話を伺っていたら結果として、よくある“AI風”の営業トークに乗せられていたケースでした。
近年、ChatGPTなどの登場によりAI(人工知能)という言葉が急速に広がる一方で、“AIをうたうだけの怪しい業者”も増えています。この記事では、中小企業が被害にあわないための「AI詐欺」見極めチェックポイントをご紹介します。
増えている“AI詐欺”とは?
AI詐欺とは、AIを名乗りながら実際にはまったくAI技術を使っていないサービスや、過剰な効果をうたって契約を迫る業者による詐欺行為のことです。代表的な手口としては以下のようなものがあります。
- 「AIが自動で文章作成・営業メールを送ってくれる」として、精度の低いテンプレートツールを高額で売る
- 「AIが顧客の購買行動を予測します」と言いながら、実態は人の勘と表計算ソフト
- AI開発を請け負うと言いつつ、外注に丸投げして高額な開発費を請求する
こうしたサービスは、実際には業務の役に立たず、無駄なコストだけが残る結果になることが多いのです。
また、悪質な業者の中には「AI専門家」「AIコンサルタント」と肩書を名乗りつつ、実際には数時間のセミナー受講だけで“名乗っているだけ”というケースもあります。特にSNSやYouTube、オンラインセミナーでは見かけだけ立派な肩書で信頼感を装っていることがあるため注意が必要です。
なぜ中小企業が狙われやすいのか?
中小企業は、以下のような理由から“AI詐欺”のターゲットになりやすいと言われています:
- 「AIを導入したいが、詳しい社員がいない」
- 「専門用語が多くて、説明を聞いてもよくわからない」
- 「なんとなく時代に乗り遅れたくない」と焦ってしまう
特に士業・医療・製造業などの現場では、ITの専門人材が社内にいないことが多く、営業トークの“勢い”だけで契約してしまったというケースも珍しくありません。
さらに、補助金や助成金の制度を悪用した“AI活用支援”にも要注意です。「補助金が使えるから実質無料」と言って過大な見積を出し、申請代行料や着手金を徴収した後、実際の作業はほとんど行わないといった手口も報告されています。こうしたケースでは、企業側にもリスクが及び、後日補助金返還を求められる可能性もあるのです。
契約前に確認!AI詐欺を見抜く5つのチェックリスト
次のようなポイントを1つでも感じたら、すぐに契約せず、社内や信頼できるITパートナーに相談しましょう。
- 「ChatGPT」「生成AI」という言葉だけを連呼している(具体的な活用事例がない)
- 成果の根拠が曖昧(「売上アップできます!」と言うが、データや実績が出てこない)
- 価格設定が一律で高額(中小企業向けとは思えない導入費・月額)
- 「今契約しないと損です」と煽ってくる
- 会社や担当者の情報が少ない(実績紹介が架空、連絡先が携帯電話のみなど)
近年はAIに関する専門的な知識を持っていなくても、生成AIで立派な見た目のWebサイトを簡単に作れてしまうため、見た目だけでは判断できません。
安全にAIを活用したいなら、ここに注目
では、安心して相談できる“本物のAI活用支援”は、どうやって見極めればよいのでしょうか?以下のような企業や担当者であれば、信頼性が高いと言えるでしょう。
- 業界や業種に応じた導入事例を持っている
- 「まずは無料相談」や「小規模トライアル」を用意している
- 契約書に「やらない範囲」や「効果が出なかった場合の対応」も明記されている
- 専門用語を使わず、現場に合わせた提案ができる
また、信頼できる支援者は「本当にAIが必要なのか?」という段階から一緒に考えてくれます。たとえば、「その業務はExcelの関数で解決できます」「AIよりもRPAの方が安価で効果的です」といった提案をくれるのは、本当に御社のことを考えている証拠です。
AI活用でありがちな“3つの誤解”
中小企業の現場でよくあるAIに対する誤解を以下にご紹介します。
誤解1:AIを入れれば勝手に仕事が減る
実際は「どう使うか」を考えるのが重要。使いこなせなければ宝の持ち腐れです。
誤解2:AI=高額で難しい
無料や低コストのツールでも十分活用できます。例えばChatGPTは無料プランでもある程度の業務支援可能です。
誤解3:社員が使えないと意味がない
専門知識がない社員でも、マニュアルや研修を通じて活用できます。重要なのは“現場にあった導入ステップ”です。
まとめ|AI活用には“冷静な目”と“相談相手”が必要
AIは確かに業務効率化の大きな武器になりますが、それは「正しく使えたとき」に限ります。焦って導入すると、コストだけがかかり「なんだAIって大したことないな」と誤解を生んでしまうかもしれません。
中小企業だからこそ、必要なのは“派手な機能”ではなく、着実に役立つ活用です。導入に迷ったら、身近で信頼できるITサポート企業に相談するところから始めましょう。
株式会社テクノリレーションズでは、中小企業向けにAIの活用支援から実務の効率化まで、わかりやすく・丁寧にサポートいたします。「AIを活用したいけど何から始めればいいか分からない…」という方も、お気軽にお問い合わせください。