「パソコンやネットのトラブルが起きるたび、つい自分か総務が何とかしている。でも、もうそろそろ限界かもしれない…」
「情報システム部門なんて、うちの会社には大げさじゃないか?」
中小企業の経営者や管理者の方から、こうした声をよくお聞きします。「IT担当者がいない」という悩みは、決して珍しくありません。しかし、今やどの会社でもデジタル化やセキュリティ強化が避けては通れない時代になりました。
この記事では、なぜ中小企業が情報システム部門を持つことが難しいのか、その現実的な理由やリスク、すぐにできる対策、そして効率化とセキュリティ強化の両立方法を、具体的な事例やエピソードを交えてご紹介します。「ITが苦手で…」という方にもわかりやすくお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
なぜ中小企業は“情報システム部門”を作れないのか?
必要性は感じるけど…現場でつまずく“ハードル”の正体
まず、「なぜ多くの中小企業が情報システム部門(情シス)を持てないのか?」という点について整理しましょう。よくある理由は以下のようなものです。
- 人手も予算も足りない——「専任IT担当を雇う余裕がない」「業務量がそこまで多くない」
- “今までなんとかなってきた”という雰囲気——困ったら誰かが何とかしてきた、という安心感
- 「ITは外部に頼むもの」と思っている
- 「何を担当させるべきか」がはっきりしない
- ITができる社員がいない、または採用や育成が難しい
たとえば、士業や専門職の事務所では、「パソコンの設定やトラブル対応は一番詳しいスタッフが兼任でやる」という形が多く見られます。しかし本業と兼務なので、時間も知識も限られ、急なトラブル対応が追いつかなくなることもしばしばです。また「外部に頼むと高そう」「最低限だけ相談して結局自分たちで何とかしてしまう」といった“悪循環”も生まれやすいのが現状です。
情報システム部門がないことで起きる“隠れたリスク”
見えないコストやトラブルが実は積み重なっている
情報システム部門や明確なIT担当がいない会社では、次のようなリスクが“静かに”積み重なっています。
- システムやネットのトラブル時、対応できる人が限られ、業務が止まる
- セキュリティ対策が不十分なまま、ウイルス感染・情報漏洩が発生しやすい
- パソコン・アプリの“自己流運用”で、データ消失や不正利用のリスクが高まる
- IT資産(パソコン・アカウントなど)の管理漏れで無駄なコスト・ロスが増える
- クラウドや新しいツールの導入を決断できず、業務効率化が進まない
たとえば「パソコンが突然動かなくなったのに、誰も対応できず、1日中業務がストップ」「ウイルスメールに気付かず開封、気付いた時には取引先へも被害が波及」など、“小さなつまずき”が大きな損失につながることも珍しくありません。特にセキュリティ対策やクラウド運用の設定ミスは、悪意がなくても“誰でも”やってしまいがちです。
情シスを作るのが難しい「現実的な理由」
「やりたいけどできない」5つの代表的な壁
- IT担当者を新たに採用するコストやハードルが高い
- 既存社員に“兼任”させると本業に支障が出やすい
- ITスキルを持つ人材の育成に時間・費用がかかる
- 「どこまで何をやればよいか」業務範囲があいまい
- 外部業者に頼む場合も、「選び方」「頼み方」が分からない
とくに中小企業では「IT担当=社長や総務が“片手間”で担当」というケースが非常に多いです。これだと業務負荷が増すだけで、「結局、何も変わらない」状況に陥りがちです。
【事例】外部サポートを活用した“公式LINE導入”とクラウド活用・セキュリティ強化の効率化
先日、3つの事業所を展開する弁護士事務所の経営者からご相談がありました。
「各事業所ごとに公式LINEを立ち上げるよう指示しているが、担当者が操作方法を覚えるのが大変そう」とのお悩みでした。そこで弊社からは、「各事業所ごとに個別で作業するよりも、誰か一人を担当者として3つ分を作ってもらった方が、効率もよく現場の負担も減りますよ」とアドバイスしました。
実際、この方法なら各事業所の担当者全員が操作を覚える必要がなく、ITに不慣れなスタッフの負担も大きく軽減できます。また、各事業所で特別なことをしたい場合は、その“特別な部分”だけを覚えればよく、基本操作は担当者が一括で管理できます。
中小企業でもできる!「情報システム部門不在」を補う現実的な5つの解決策
人も予算も少ないからこそ「仕組み」でカバー
- IT業務の“見える化”——何を誰がどんな手順で行うのか、社内チェックリスト化する
- 兼任担当者でも“ルール化”+簡易マニュアル作成——担当範囲・困ったときの連絡先を明確にしておく
- 外部ITサポートの活用——月額・スポット対応など、自社規模に合ったプロの力を頼る
- クラウドサービスを活用し、ファイル共有やコミュニケーションを効率化——同時に“アクセス権限”などセキュリティ運用もルール化
- 社員向けセキュリティ教育やヒヤリハットの共有——最低限の危機管理知識を定期的に社内で共有する
「すべて社内で完結しよう」とするよりも、“外の知恵”もうまく使って、自社の負担を最小限にするのが中小企業流の現実解です。弊社では、ITに不慣れな方でも分かりやすいマニュアル作成や、動画での使い方解説もご提案しています。
【IT事故は“悪意”より“うっかり”で起きる】セキュリティを守るためのコツ
担当者・運用体制・ダブルチェックが命綱
たとえばGoogleドライブなどのクラウドサービスは、仕事を大きく効率化できる反面、設定ミスによる情報流出が大きなリスクです。
とくにニュースで話題になったような「社外にも見える状態で情報を共有してしまった」ケースは、ITに詳しくない方でも簡単にやってしまう身近な落とし穴です。
- 共有範囲の設定ミスを防ぐため、作業前のチェックリストを必ず使う
- 管理者・担当者を決め、誰が責任を持つか明確にする
- アクセス権限の定期見直しや、外部ITサポートによる「第三者チェック」を取り入れる
これらの運用で「うっかり事故」を減らすことができます。「自分は大丈夫」と思わず、小さな確認や相談の積み重ねが会社を守ります。
まとめ|「情報システム部門」がなくても、会社は守れる・強くなれる
中小企業で「情シス部門」を専任で作るのは難しい。これは多くの会社に共通する現実です。しかし、そのまま“何となく場当たり対応”を続けることこそ、本当のリスクです。
まずは自社のIT運用やセキュリティの現状を「見える化」し、できるところから“相談先”や“最低限のルール”を整備しましょう。経営者が「誰に相談すればいいかわからない…」と感じたら、“ITに強いパートナー”を活用するのも大きな一歩です。
株式会社テクノリレーションズでは、中小企業の「ITに困った」を一緒に解決するサービスをご提供しています。「うちはIT担当がいないから無理…」と諦めず、まずはお気軽にご相談ください。