セキュリティ対策と“サイバー保険”、ごっちゃにしていませんか?中小企業が知るべき違いと使い分け

「うちはサイバー保険に入ってるから大丈夫ですよ」。そんな言葉を経営者の方から耳にする機会が増えました。

確かに、サイバー攻撃が増加している今、保険に加入しておくことはとても大切な備えです。ですがその保険、本当に“被害が起きたとき”にしか効かないってご存知ですか?

セキュリティ対策とサイバー保険。名前は似ていますが、役割はまったく異なります。しかも、どちらか一方では不十分。中小企業だからこそ、“両方そろえて初めて安心できる”という現実があるのです。

セキュリティ対策と保険の“本質的な違い”とは

一番よくある誤解が、「サイバー保険に入っていれば、セキュリティ対策はそこまでしなくていい」という考え方です。

でも、保険の役割は“損害が発生したあと”に発揮されるもの。つまり、事故を防ぐことはできません。

対策=事故を防ぐもの/保険=事故後の補填と覚えておきましょう。

例えるなら、

  • セキュリティ対策 → 火災報知器や消火器
  • サイバー保険 → 火災保険

火事が起きたら保険でお金は返ってきますが、建物や信頼、取引先は戻りません。それと同じです。

サイバー保険がカバーできないもの

では、サイバー保険は何を守ってくれるのでしょうか?主な補償内容は以下の通りです。

  • 情報漏洩が起きたときの損害賠償
  • 顧客への通知・謝罪文の発送
  • 訴訟対応や弁護士費用
  • フォレンジック調査費用(原因調査)

一方で、次のような費用や損害は補償外になりやすい点に注意が必要です。

  • 被害があったにもかかわらず、初動対応が不適切だった場合
  • サポート契約が切れていた機器に起因する被害
  • 社内ルールが未整備だったことが原因とされるケース

さらに言えば、「業務が止まって売上がゼロになった」「信用が失われて取引が打ち切られた」といったダメージは、保険では補えない“見えない損失”です。

中小企業がまずやるべき“最低限のセキュリティ対策”

「セキュリティ対策って、専門知識が必要で難しいのでは?」という声をよく聞きます。でも、実際は次のような基本を押さえておけば、大きな被害を防げるケースが多いのです。

  1. 社員ごとにID・パスワードを分ける(共用しない)
  2. Windowsやソフトの更新を定期的に行う
  3. 重要データはクラウドか外付けで定期バックアップ
  4. UTMなどで社内ネットワークに“入口の防御”を設ける
  5. 迷惑メール・偽サイトに注意するよう社内教育する

どれも“今すぐ・安価に・簡単に”できる対策ばかりです。保険だけに頼るのではなく、被害がそもそも起きないようにすることこそが本質です。

“対策”と“保険”、順番と使い分けが重要

ここで大事なのが、順番です。

「とりあえず保険に入っておけばOK」ではなく、“まず対策、そして保険”の順が理想です。

なぜなら、保険会社からも「最低限のセキュリティ対策を講じていること」が加入の条件になっていることが増えてきているからです。

また、保険を適用する際も、「うちの会社ではこれだけ対策していた」と示せることが、補償の可否を左右します。

まとめ|“どちらか”ではなく“両方”が中小企業の命綱

サイバー保険は、いわば「最悪の事態」に備える保険です。ですが、最悪の事態が起きないようにするのがセキュリティ対策です。

どちらか一方では不十分。両方そろえて、初めて“安心できる”状態になります。

「よくわからないけど、ウチの会社もそろそろ何かしなきゃ…」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。

株式会社テクノリレーションズでは、中小企業向けのセキュリティ設計から、保険加入のご相談までトータルにサポートしています。

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