「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」——名前だけで敬遠したくなるこの文書。
実際、多くのクリニックや薬局の経営者様から、次のような声をいただきます。
- 「うちは医療機関だけど、ITなんて専門外」
- 「スタッフはパソコンに詳しくない」
- 「読んでも意味がわからない。でも対応しないとマズいのはわかる」
そう、「無理ゲー」感がすごい。でも、国が定めたガイドラインだから対応は必須。逃げられないなら、どう“進めるか”を考えるしかありません。
医療現場のメンバーだけで対応できるか?
まず、このガイドラインは厚生労働省が発行した「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版」をベースにしています。
この中には、情報セキュリティの専門用語やネットワーク設計、アクセス権管理、暗号化、ログ管理など、ITエンジニア向けの内容が大量に登場します。
さらに、ガイドライン本文は約250ページ超。読み解くだけでも相当な労力がかかるうえ、専門知識がなければ実務に落とし込むことも困難です。
「パソコンを使える」と「安全に運用する」はまったくの別物。だからこそ、ITが専門でない医療従事者が、これを“完璧にやる”のは現実的に無理があるのです。
それでも、なぜやらなきゃいけないのか?
答えは明確です。「患者情報を守ること」が、医療機関の信頼に直結するからです。
ガイドラインの前文にもあるように、医療情報は極めてセンシティブな個人情報であり、漏えいすれば患者の人生に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。
また、医療DXの推進とともに、電子カルテやオンライン資格確認、クラウドサービスの活用が広がる今、安全管理の重要性はますます高まっています。
もし管理体制が不十分なままトラブルが起きれば、診療報酬の返還や業務停止、社会的信用の失墜など、事業継続にかかわるリスクもあります。
だからこそ、たとえ専門外の方であっても、「やらない」という選択肢はないのです。
ガイドラインが求めているのは“完璧”ではなく“継続”
多くの方が誤解しているのは、「すべてを完璧に守らなければならない」という思い込み。
実際は、“できる範囲から一歩ずつ進め、定期的に見直していく姿勢”こそが、ガイドラインが求めるものです。
つまり「とりあえず一歩進む」だけでも合格ラインです。
まず何から手をつければいい?
ここまで読んで「やっぱり専門外の方には無理じゃないの?」と思われたかもしれません。
たしかに、ガイドライン全文を読み解き、すべての要求を満たすのは専門家でなければ難しいでしょう。
しかし、すべてを“自力で完璧にやる”必要はありません。まずはできるところから取り組むことで、一定のリスクは十分に軽減できます。
つまり、専門外の方でも「ある程度まではできる」。ただし、“最後の詰め”や“見落とし防止”にはプロの力が必要——これが現実的なバランスです。
では、その「まずできること」とは何か。以下の5ステップをぜひご参考にしてください。
混乱しがちな安全管理対応ですが、やるべきことは大きく分けて以下の5ステップです。
- 現状を“見える化”する(ネットワーク図・機器一覧の作成)
- 外部アクセスやUSB利用など、リスクのある設定を洗い出す
- 職員のITリテラシーを確認し、教育計画を立てる
- バックアップとウイルス対策の有無・方法を確認
- 月1回でもよいので、点検・記録を“定例化”する
これだけでも、実はガイドラインの中でも「最低限求められる管理体制」の大部分をカバーできます。
ただし、この“7〜8割”はあくまで「概要を押さえる」レベル。実際に事故を防ぐには、さらに細かな設定や運用ルールが必要となるため、そこはプロの視点が欠かせません。
紙とエクセルでOK!最低限の「3つの資料」
よく「システムがないと管理できないのでは?」と不安の声を聞きますが、実はWordやExcelだけで十分。
まずはこの3点を作るだけで、医療機関としての“管理してます”という意思表示になります。
- ネットワーク構成図
ルーター・パソコン・プリンターのつながりを手描きでもいいので図にする - 機器管理台帳
「いつ買ったか」「どこにあるか」「誰が使ってるか」程度でOK - 点検記録表
月1回、ウイルスソフトが動いているか・異常はないかをチェック
どうしても無理なら“できる人”を頼っていい
「自分たちではどうしても限界がある」——そう感じたら、外部のITサポート会社に相談するのが現実的です。
弊社テクノリレーションズでは、医療・薬局向けに「安全管理ガイドライン対応支援」を行っています。
チェックリストの作成、職員向け教育、ネットワーク図作成など、“専門外の方には厳しいところ”を丸ごとお手伝いします。
まとめ|“完璧”じゃなくていい。まずは「管理してます」と言える状態を
医療情報の安全管理に「IT専門家でないから無理」という悩みはつきもの。でも、それを理由に放置してはリスクが高すぎます。
まずは「見える化」「点検」「記録」。この3つをやるだけで、立派な第一歩。
そして、「できることはやった」「できないところはプロに頼む」。それが今の中小医療機関に求められる“現実解”です。
お困りの際は、どうぞお気軽にテクノリレーションズへご相談ください。