その“油断”が命取り!中小企業のための“やさしい社内セキュリティ教育”入門

「パスワードの使い回しはダメ!」、「怪しいメールは開かないで!」、「社外秘の資料は持ち出さないように!」こんな注意を何度伝えても、社員の行動が変わらない…と感じていませんか?

特に中小企業では、「うちに限って大丈夫」「セキュリティは専門家の話」と思いがちですが、実際に情報漏えい事件は“思わぬ小さな油断”から起こっています。本記事では、ITが苦手な経営者・社員でも「今日から」「簡単に」「続けられる」社内セキュリティ教育のポイントと、実際の進め方を事例つきでやさしく解説します。

なぜ今「社内セキュリティ教育」が必要なのか?

ここ数年、全国の中小企業でも「情報漏えい」や「不正アクセス」などの被害が増えています。大企業だけが狙われる時代は終わり、“対策が甘い会社ほど被害にあいやすい”ことが分かってきました。

なぜなら、攻撃する側は「たくさんの会社に手当たり次第に攻撃」しているため、「たまたまパスワードが弱かった」「たまたまウイルスメールを開いてしまった」だけで、誰でも被害者になってしまうからです。

  • ある小さな事務所で、退職者のアカウントを削除し忘れ、社内システムに不正アクセスされた
  • 会計事務所で、うっかり添付ミスしたメールから顧客情報が漏えいした
  • パソコンの紛失や盗難から大切な会社データが外部に流出した
  • 「怪しいリンクをクリック」したことで、ウイルス感染が全社に広がった

こうした事件は「知識不足」ではなく、“油断”や“忙しさからのうっかり”が原因になることがほとんどです。

つまり、「社員が自分ごととしてセキュリティを考える」ことができていれば、ほとんどの事故は未然に防げるのです。

どこから始める?セキュリティ教育の基礎知識

「セキュリティ教育」と聞くと難しそうですが、まずは「会社の大切なものは何か」をみんなで考えるところから始めましょう。たとえば、以下のものが会社の「守るべき資産」です。

  • 顧客リストや見積書・請求書などの重要データ
  • 従業員の個人情報やマイナンバー
  • 取引先との契約書や機密情報
  • 会社のパソコン・スマートフォンなどの機器
  • 社外秘の書類・USBメモリなどの記録媒体

これらが外部に流出したり、勝手に持ち出されたり、ウイルス感染したりすると、取引停止や信用失墜、場合によっては損害賠償につながることもあります。 まず大切なのは「全員が“会社の資産”を正しく理解する」ことです。難しいIT用語ではなく、「大切なもの」「外に出てはいけないもの」を共有するだけで、意識が変わります。

現場でよくある“うっかりミス”とその対策

社内教育の現場でよくある“あるある”をご紹介します。「わかっていたはずなのに、つい…」というミスは、どの会社でも起きがちです。

  • 同じパスワードを色々なサービスで使い回す
  • 誕生日や社名など「推測されやすいパスワード」を使う
  • 仕事が終わったパソコンをそのまま放置(ログアウトしない)
  • 退職者のアカウントやメールアドレスを消さずに放置
  • 「社外持ち出し禁止」の資料をうっかりカバンに入れてしまう
  • USBメモリを落としたり、誰のかわからないものをパソコンに挿す
  • メールの宛先を間違えて送信してしまう

こうしたミスは、本人が「悪気がない」「面倒だから後回し」「忙しくてつい」など、気の緩みから起きることがほとんどです。 では、どうすればこれを防げるのでしょうか?

自分ごと化できる教育を

人は「自分に関係ない」と思うと注意が向きません。「このミスで会社が困る」「自分がやってしまったら、お客様に迷惑がかかる」という「自分ごと化」が大切です。たとえば、実際に過去に起きたミスや、他社の事例をやさしく紹介し、「私たちも気を付けよう」と声をかけると、受け止め方が変わります。

今日からできる!やさしい社内セキュリティ教育の進め方

ここからは、難しい研修や専門用語を使わず、現場で続けやすい教育のやり方をご紹介します。

小さな声かけの習慣から始める

  • 「今日もパスワードの使い回し、していませんか?」
  • 「怪しいメールは、まず一度相談してOKです」
  • 「退職者のパソコンやアカウント、忘れずにチェックしましょう」
  • 「データ持ち出しのときは“本当に必要?”を必ず確認」

一方的に「やれ」と言うのではなく、「困ったらすぐ相談していい」「間違いは誰でもある」という雰囲気を作ると、社員も気軽に相談しやすくなります。

1回だけで終わらせないコツ

「今年は研修をやったから大丈夫!」と1回の実施だけで終わると、効果は長続きしません。毎月1回でも、掲示板や社内チャットで「今日はセキュリティの日」「先月はこういうトラブルがありました」と声かけするだけでも、自然と注意が習慣になります。

現場で使いやすい事例・小話を活用

難しい資料より、実際にあった困った話やヒヤッとした体験を共有すると、社員にとって身近に感じられます。

  • 「知り合いの会社で、パスワードをメモした紙をなくして大騒ぎになった」
  • 「隣のオフィスで、退職者のアカウントを消し忘れてデータが盗まれた」

こうした「他人事ではない」話題を使うことで、社員が「明日は我が身」と感じやすくなります。

社員全員が自分ごと化できる教育の“仕組み”を作る

役割分担でみんなが主役

教育は「IT担当」や「社長」だけの役目ではありません。現場のリーダーや若手も交えて、「今月は〇〇さんが注意喚起担当」など役割を回すと、社員全員が当事者として関わるきっかけになります。

できたことを見える化する

「できなかったこと」ばかり責めるのではなく、「今月は退職者アカウントの削除がしっかりできた」など、できたことをみんなで共有しましょう。 褒め合う文化が、自然と“やる気”につながります。

相談しやすい雰囲気作り

セキュリティの話は、つい「怒られそう」「難しい」と思われがちです。「分からないことはすぐ聞いてOK」「小さなことでも共有しよう」という空気を作ることが大切です。

外部の力も上手に活用

「社内だけでは不安」「どうしても難しい」という場合は、ITサポート会社や専門家のアドバイスを活用するのもおすすめです。最新の脅威や実践的な事例を定期的に教えてもらうことで、会社のレベルアップにつながります。

まとめ|小さな積み重ねが会社を守る

まずは1つだけ、できることから

社内セキュリティ教育は、「難しい」「面倒」「どうせ変わらない」と思われがちですが、毎月一言声かけするだけみんなで小さな事例を共有するだけでも、事故のリスクは大きく下げられます。最初はうまくいかなくても、「できることから少しずつ」始めていくことで、社員も「自分ごと」として意識が高まります。

株式会社テクノリレーションズでは、中小企業の“やさしい社内セキュリティ教育”をサポートしています。「どこから始めればいいか分からない」「ITが苦手で不安」という方も、お気軽にご相談ください。大切なのは、「完璧を目指す」のではなく、「続けられる仕組み」を作ること。一緒に“守れる会社”を作っていきましょう。