ウイルス対策ソフトは必要か?Windows Defenderだけでは防げない5つのリスクと対策

「Windowsには最初からウイルス対策ソフトが入っているから、もう十分でしょ?」

そう考えている中小企業の経営者の方は少なくありません。しかし、実際にはそれだけでは守りきれないセキュリティリスクが数多く存在しています。

この記事では、「ウイルス対策ソフトは本当に必要なのか?」という素朴な疑問に対し、ITが苦手な経営者の方でも理解しやすいように、事例や最新の攻撃傾向を交えて解説していきます。

Windows Defenderは本当に安心?

Windows Defender(現 Microsoft Defender)は、Windows 10以降に標準搭載されている無料のウイルス対策ソフトです。リアルタイムスキャンやウイルス定義の自動更新など、基本的な保護機能は備わっており、「昔よりはかなり優秀になった」と評判です。

ですが、実際の運用現場では「Defenderだけで大丈夫だった」と言い切れる事例は多くありません。

2024年2月には、Microsoft Defender SmartScreenのゼロデイ脆弱性「CVE-2024-21412」が悪用され、金融系のトレーダーを狙った標的型攻撃が確認されました(出典: トレンドマイクロ公式)。

このように、Defenderは「すでに知られているウイルス」には強くても、「未知の攻撃(ゼロデイ攻撃)」や「人をだまして感染させるフィッシング」などには限界があります。

Windows Defenderだけでは防げない5つのリスク

ゼロデイ攻撃(脆弱性の未修正部分を狙った攻撃)

Defenderは既知の脅威に強い一方で、未知の攻撃には対応が遅れることがあります。

フィッシング詐欺

偽の請求書や取引先を装ったメールに対して、リンクの安全性チェックが不十分な場合があります。

USBメモリ・外部ストレージ経由の感染

自動実行ウイルスや隠しファイルによる感染が、社員の持ち込み機器を通じて広がる危険性があります。

社内全体の一括管理ができない

複数端末を抱える企業では、管理コンソールがないと監視やポリシーの徹底が難しくなります。

業務に影響するマルウェアの見逃し

バックグラウンドで情報を抜き取るようなマルウェアに対し、Defenderは即時対応できない場合があります。

無料ソフトでも守れる範囲はある

Microsoft Defenderは、基本的なリアルタイム保護やウイルススキャン、クラウド経由の脅威分析機能を備えており、「一般的なマルウェア」や「古いウイルスの再感染」などに対しては一定の防御力があります。

加えて、Windows Updateと連携することで、脆弱性パッチが適用されやすく、OSレベルでの最低限のセキュリティ基盤として機能しています。ただし、これはあくまで“最低限”であることを忘れてはなりません。

有料ソフトの強みと限界

ウイルスバスターやESETなどの有料セキュリティソフトであっても、ゼロデイ攻撃を100%防げるとは言い切れません。ただし、 「AIによる振る舞い検知」や「仮想環境でのファイル実行(サンドボックス)」などの高度な機能により、Defender単体よりも防御範囲は広くなります。

たとえば、 創業手帳のセキュリティ比較記事では、「ESETは軽量で誤検知が少ない」「トレンドマイクロはランサムウェアに強い」といった特徴が紹介されています。

ウイルス対策にかかる費用と損失リスク

有料のウイルス対策ソフトは、1台あたり年間5,000円〜7,000円程度(1日換算で20円程度)が相場です。10台規模の会社でも年間7万円程度で済みます。

一方、情報漏えいやランサムウェアによる業務停止などで、 実際に発生する損害は「1件あたり平均267万円」(出典:JNSA「2023年 情報セキュリティインシデント調査報告書」)とも言われています。

無料と有料、どちらを選ぶべきか

小規模な事業所で、パソコンの台数も少なく、セキュリティリテラシーの高い社員が使っている場合には、Defenderでもある程度対応可能です。

しかし、次のようなケースでは有料ソフトの導入を検討すべきです:

  • 社員のITリテラシーにばらつきがある
  • USBメモリや外部ファイルのやりとりが多い
  • 医療・法律・会計など、顧客情報を扱う業種
  • 複数拠点や10台以上のPCを管理する必要がある

まとめ|“無料で十分”は本当に安全か?

Windows Defenderは非常に優秀な無料ツールですが、 「これ1つで安心」ではないことを理解する必要があります。

セキュリティ事故の多くは「まさか、うちが…」という油断から始まります。最小限の費用で最大の安心を得るために、必要に応じて有料ソフトの併用やセキュリティルールの整備を検討しましょう。

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