医療情報システムガイドライン6.0対応|中小企業・クリニックの社内IT担当が取るべき5つの行動

中小企業やクリニック、薬局でIT担当をされている皆様へ。

今回は、厚生労働省が発行する「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン6.0版」に基づき、医療システムを管理している社内IT担当が今すぐ着手すべき行動について解説します。

なぜ「医療情報システムガイドライン6.0」対応が重要なのか

医療現場では、患者様の命を守ると同時に、個人情報をはじめとした重要なデータを守る使命があります。

このため、厚生労働省は「医療情報システム安全管理ガイドライン6.0」を定め、医療従事者だけでなく、IT担当も最前線で戦う存在であることを求めています。

医療情報の漏洩やシステム停止は、診療継続に直接的な影響を及ぼします。だからこそ、医療従事者を支えるIT部門が安全で堅牢なシステムを運用することが不可欠なのです。

半田病院ランサムウェア事件から学ぶ、IT対策の重要性

2021年、徳島県の半田病院がランサムウェア攻撃を受けました。この結果、診療業務に甚大な支障が生じ、大きな社会的影響を及ぼしました。

この事件を受け、厚生労働省や関係団体は、同様の被害を防ぐため全国的な周知活動を強化しています。

また、半田病院は自身が大きな被害を受けたにもかかわらず、同じような悲劇が再発しないよう、広く注意喚起活動にも取り組まれています。

私たちは、彼らの尊い活動を無駄にしないためにも、日々のIT対策を怠ることなく、着実に取り組んでいかなければなりません。

社内IT担当がガイドライン6.0で求められる役割とは

ガイドライン6.0では、システムの"技術的な安全性"だけでなく、"運用面での管理体制"までが重視されています。

つまり、IT担当者には単なる設定作業ではなく、「医療従事者とともに現場を守る」意識が求められているのです。

社内IT担当が今すぐ着手すべき5つの行動

  1. IT機器のソフトウェア・ファームウェアを最新版にし、ウイルス対策ソフトの導入

    すべての端末にウイルス対策ソフトをインストールし、定期的なIT機器のアップデート状況を確認しましょう。OSやソフトウェアの更新も忘れずに。

  2. データの整理と定期バックアップ

    重要なデータを整理・分類し、定期的なバックアップを確保しましょう。特にクラウドストレージも活用して、複数拠点に保存する仕組みを整えます。

     
    補足

    クラウドストレージを利用する場合は、クラウド事業者の信頼性やリスク評価もあわせて行うことがガイドラインで求められています。

  3. 機器管理の徹底(ハードウェア台帳の整備)

    誰が、どの端末を、どこで使用しているか。すべてを把握し、リスト化しましょう。棚卸しは年1回以上が理想です。ネットワーク機器も含め、常に最新バージョンで管理されているかを確認しましょう。

  4. アクセス権限管理(ID・パスワード管理ポリシーの策定)

    IDの使い回し禁止、定期的なパスワード変更、退職者アカウントの速やかな削除。「誰でもアクセスできる状態」を放置しないことが基本です。

  5. 簡単な操作ログ確認と異常検知

    特別なツールを使わずとも、OS標準機能のイベントビューアなどで簡易的なログチェックを習慣化しましょう。異常があれば速やかに上司や外部サポートに相談します。

ベンダー選定のポイント|ISMS・Pマーク取得企業を選ぶ理由

厚生労働省ガイドライン6.0では、外部委託先についても厳格な選定を求めています。

特に、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)やPマークを取得している企業との取引が望ましいとされています。

これは、セキュリティポリシーや運用体制が客観的に保証されている証だからです。単なる「価格の安さ」だけで委託先を選ぶことは、重大なリスクを招きかねません。

株式会社テクノリレーションズはISMS認証取得企業です

株式会社テクノリレーションズは、ISMS(ISO/IEC 27001)認証を取得済みです。

医療情報システムガイドライン6.0にも準拠したサポート体制を整えています。システム導入支援だけでなく、運用ルールの策定、社内教育、セキュリティ監査対応、BCP構築まで一貫してサポート。

医療従事者の皆様とともに、ITの側面から現場を守ります。

まとめ|医療情報を守るため、今こそ“社内ITと専門サポート”の連携を

医療情報を守ることは、患者様の命を守ることに直結します。ガイドライン6.0対応は、単なる形式的な作業ではありません。

いきなり100点を目指すのは難しいかもしれません。それでも、少しずつでも意識を高め、改善を続けていくことが大切です。

時には、経営層から「コスト面」の指摘を受けることもあるでしょう。それでも、医療現場を支えるITの取り組みは、未来を守るために欠かせない大切な活動です。どうか諦めず、誇りを持って取り組んでいきましょう。