“ITに強い人がいない…”会社こそやるべき、最低限のIT教育3選

「ウチの会社にはITに詳しい人がいないんです」「とりあえず現場で頑張ってもらってるけど…」

そんな声を中小企業の現場からよく聞きます。

ですが、“詳しい人がいないから仕方ない”では済まされないのが、今の時代のITリスクです。

実は、IT担当者がいなくても、現場で最低限のIT知識を共有しておくだけで、セキュリティ事故・業務の手間・トラブルの発生率を大幅に下げることができるのです。

この記事では、IT教育の専門講師がいなくても、中小企業で必ずやっておきたい「3つのIT教育項目」を、誰でも実践できる形でご紹介します。

なぜ今「最低限のIT教育」が必要なのか?

「ウイルスとか、うちには関係ないでしょ?」「セキュリティはソフトに任せてるから大丈夫」──そう思っていませんか?

ところが、IPA(情報処理推進機構)のレポートによれば、ITリテラシーの低さが原因の“ヒューマンエラー”による情報漏洩が過去最多となっています。

よくあるITトラブルの例

  • メール誤送信で顧客情報を外部に送ってしまった
  • 怪しいリンクをクリックして社内PCがウイルス感染
  • フリーWi-Fiに接続し、データが盗まれた
  • 「パスワードは全員共通」で使っていたアカウントが乗っ取られた

こうしたトラブルは、ITの専門知識ではなく、“日々の意識”と“ちょっとした知識”で防げるものばかりです。

教えるのはこの3つだけ!中小企業が押さえるべき「IT教育3選」

「あれもこれも教えないと…」と思うと、IT教育のハードルはどんどん高くなります。

ですが、中小企業がまずやるべきは、“全員が最低限守るべきこと”の徹底です。

ここでは、IT担当者がいない会社でも実践できる、全社員に共有したい3つの基本教育をご紹介します。

1. パスワードの正しい作り方・管理の仕方

多くのトラブルの入口になっているのが「簡単すぎるパスワード」や「使い回し」です。

こんな例は危険!

  • 123456、password、社名+誕生日など簡単なパスワード
  • 同じパスワードを複数のサービスで使い回している
  • パスワードを付箋でPCに貼っている
  • 退職者が知っているままのパスワードを使い続けている

最低限伝えておきたいルール

  • パスワードは12文字以上にする(英数字+記号を含む)
  • サービスごとに別のパスワードを設定する
  • 社内共有が必要な場合は、権限付きファイルなどで管理
  • 2段階認証があるサービスは必ずONにする

これだけでも「乗っ取り」や「外部からの侵入」を大きく減らせます。

2. メール・リンク・ファイルに潜む危険の見分け方

次に多いのが、メールに添付されたファイルや記載されたURLからのウイルス感染です。

社内で1人でも「うっかり」クリックしてしまえば、会社全体のファイルが暗号化されたり、情報が抜き取られたりすることも。

最低限伝えておきたいポイント

  • 心当たりのないメールは「開かない」「クリックしない」
  • 請求書・見積書・人事情報などのファイルは特に注意
  • 怪しいと感じたら、IT担当でなくても誰かに一度相談
  • 「t-rel.co.jp」→「t-re1.co.jp(数字の1)」など紛らわしいアドレスに注意

“反射的に開く”クセを防ぐだけで、トラブルの8割は回避できます。

3. 社内データを「どこに保存して、誰が見れるか」を意識する習慣

最後は「情報をどこに保存し、誰と共有しているか」の意識を持つことです。

実際の現場では、こんな状況がよくあります:

  • 顧客リストを個人のPCやUSBに保存していた
  • 社内ドライブのアクセス権を誰でも見られる状態にしていた
  • 古いファイルが大量に放置されている

最低限共有したいルール

  • 機密情報は必ず社内指定のクラウド(Google Driveなど)に保存
  • 個人PC・私物USBへの保存は原則禁止
  • フォルダごとのアクセス権を定期的に見直す

これは社長や管理職が率先して守ることで、全体の意識がぐっと上がります。

教育はどう進める?社内に詳しい人がいない会社の進め方

「言ってることは分かるけど、それを教える人がいない…」「社員に説明できるほど詳しくない…」

そんな中小企業でも、“仕組み”を使えば教育は可能です。

1. 「紙1枚」にまとめて配布(または掲示)

まずは、前章でご紹介した「最低限のルール」を1枚にまとめ、A4で配布 or 共有フォルダに保存しましょう。

チェックボックス付きのシート形式にして、朝礼や週次会議で共有すれば定着しやすくなります。

2. 動画で“見て学べる”社内用マニュアルを作る

難しい内容でも、画面キャプチャ+説明音声の動画であれば社員が自分のペースで学べます。

無料ツール(例:Googleスライド+録画ソフト)で作成し、共有ドライブに保存すれば社内全員で使いまわせます。

3. 1回のミスを“全社で学びに変える”ルール化

「このメール、怪しかった」「誤送信してしまった」など、実際に起きたヒヤリ体験は宝の山。

匿名で社内に共有し、「次はこうしよう」と話し合う文化を作ることで、“生きた教育”が可能になります。

4. 外部のITサポート会社と“学べる契約”を結ぶ

株式会社テクノリレーションズのように、中小企業向けに「トラブル対応+教育サポート」をセットで提供している会社もあります。

「何を聞けばいいかも分からない…」という企業こそ、第三者を頼ることでトラブルが起きる前に備えることができます。

実際に効果があった中小企業の事例紹介

事例1:社内で「2段階認証導入キャンペーン」→乗っ取りゼロに

ある従業員20名規模の企業では、管理者から「Googleアカウントを全員2段階認証に切り替える」指示が出たものの、対応が進まず困っていました。

そこで、週報で「登録済」「未登録」一覧を社内に出す仕組みを取り入れた結果、全員が1週間で設定完了。以降、外部アクセスの通知が激減しました。

事例2:メール添付を「Google Driveリンク」に統一して誤送信防止

ある建設系の中小企業では、図面や写真をメールで送る際、誤って別の現場へ送ってしまう事故が続いていました。

そのため、添付ファイルは禁止、すべて「共有リンク」で送るルールを設定。アクセス制限付きのため、仮に誤送信しても外部の人には見られず、大幅にリスクを減らせました。

事例3:月1回の“やさしいITニュース”で社員の関心UP

とある社労士事務所では、代表が「セキュリティ勉強しよう」と言っても社員がピンと来ていなかったため、「月1回だけ社内掲示板で身近なITトピックを紹介」することに。

「LINEに来たこのメッセージ、開いても大丈夫?」という質問が出るようになり、社員の関心が自然と高まったとのことです。

まとめ|“できる人がいない”会社こそ、仕組みで守る

ITに詳しい人がいないからといって、リスクを放置してよい理由にはなりません。

むしろ、「詳しい人がいないから、誰でもわかる仕組みにしよう」という意識が、トラブルの芽を早めに摘むことにつながります。

今回ご紹介した3つの教育内容と、導入の工夫を取り入れるだけでも、現場のミス・手間・不安は確実に減ります。

株式会社テクノリレーションズでは、「何から教えればいいか分からない」「そもそも社内に詳しい人がいない」という会社様向けに、IT教育の仕組みづくり支援も行っています。

「うちには無理だ」と思っていた方も、まずはお気軽にご相談ください。